ヤン・ファン・エイクの作品一覧・解説『アルノルフィーニ夫妻の肖像』

ヤン・ファン・エイクの有名(ポピュラー)な作品から、あまり知られていない作品までを厳選して紹介いたします。

アルノルフィーニ夫妻像

イタリアの商人ジョヴァンニ・アルノルフィーニとその妻コスタンツァを描いたものです。
絵の中で二人は結婚の儀式を示すように見えますが、結婚式の場面ではなく、むしろ夫婦の肖像画としての性質が強いとされています。
画面の精緻なディテール、特に光の反射や布地の質感が際立っており、油絵技法の革新を示しています。
背景には豪華な室内が描かれ、鏡には二人の姿だけでなく、絵を描いた画家自身の反映も見え、この鏡には、聖書のシーンや家族の近くにいると思われる人物が映り込んでおり、作品に深い意味を持たせています。
二人の手が握られていること、床に置かれた物品(ペット、シャンデリア、じゅうたんなど)にも象徴的な意味が込められていると考えられています。

アルノルフィーニ夫妻像
Date.1434

ファン・デル・パーレの聖母子

寄進者であるヨリス・ファン・デル・パーレが信仰の証として依頼したものです。ファン・デル・パーレはブルッヘ出身の裕福な牧師であり、当時高齢で重病を患っており、この作品を自分の記念碑として作ろうと依頼したものです。
聖母マリアは、教会の中央に玉座に着き、膝の上に幼子キリストを抱いています。聖母マリアの右には聖ドナティアヌスが、左には寄贈者と同名の聖人である聖ゲオルギオスが立っています。
マリアは王座に座り、幼子イエスを抱えており、キリストは祝福のジェスチャーをしながら、見る者と視線を交わしています。これは、神の恩寵が信仰者に与えられることを意味します。
イエスは聖母の膝に座り、彼の無邪気さと聖母の優しさが感じられます。
ファン・デル・パーレは写実的な技法を駆使し、衣服や肌の質感、光の表現に細部まで気を配り、特に聖母の顔や衣服に繊細さが感じられます。
背景にはシンプルながら温かみのある風景が広がり、全体として穏やかな宗教的な情感が漂う作品です。
「死の準備としての信仰」を象徴しており、永遠の命への希望を表現しており、ファン・デル・パーレはこの作品を祈祷のための祭壇画として奉納し、死後の救済を願っていました。

ファン・デル・パーレの聖母子
Date.1436

ヘントの祭壇画

フランドル派の祭壇画です。
12枚のパネルから成るこの大作は、聖バーフ大聖堂に展示されており、キリストの神聖さと贖罪を中心テーマにしています。
開いた状態では、中央に神と聖母マリア、そして子イエスが描かれ、周囲には聖人や天使が配置されています。
特に、神の祭壇として描かれた中央パネルは、神の存在を象徴的に表現しています。
祭壇画の背景には、非常に精緻な風景や都市が描かれ、ファン・エイクの写実的な技法が際立っています。
閉じた状態では、天使や聖書のシーンが描かれ、神の神秘的な側面が強調されています。

ヘントの祭壇画
Date.1432

宰相ロランの聖母

祭壇画で、作品名は寄贈者である宰相ロランに由来しています。
この絵は、聖母マリアと幼子イエスを描いた宗教画で、ロラン自身が聖母に祈りを捧げている姿が描かれています。
聖母マリアは非常に優雅に描かれ、イエスは彼女の膝の上にいます。
背景には美しい風景が広がり、ファン・エイクの精緻な技法が光り、特に光の表現や人物のディテール、衣服の質感が非常にリアルで、油絵技法の革新が感じられます。
また、この作品では宗教的な意味合いとともに、当時の富裕層のパトロンとしてのロランの社会的地位も象徴的に描かれ、宗教的な神聖さとファン・エイクの写実的な技術が見事に融合した一作です。

宰相ロランの聖母
Date.1435

受胎告知

聖母マリアが天使ガブリエルから神の子を宿すことを告げられる場面を描いています。
この作品は、ファン・エイクの精緻な写実技法を示す代表作であり、背景に見える室内の細部や光の使い方が非常に巧妙です。
聖母マリアは静かに座り、天使がその前に現れ、神のメッセージを伝える瞬間が描かれています。
天使の衣服や羽根、マリアの服の質感、さらには背景の風景や小道具に至るまで、ファン・エイクの繊細な観察力と技術が光ります。
また、この絵は宗教的なテーマを超えて、当時のフランドル社会やその美的感覚を反映しており、絵の中での構図や色使いも印象的で、聖母と天使の姿が空間的にバランスよく配置されています。

受胎告知
Date.1436

男性の肖像

詳細な写実性が特徴的です。
この作品では、男性が立っている姿が描かれており、彼の衣服や装飾が非常に精緻に描かれています。
背景はシンプルでありながら、人物の表情や手の位置、服の細部まで丁寧に表現され、当時の貴族や商人の社会的地位を反映しています。
ファン・エイクの特徴である光の使い方が見事で、特に人物の顔や手のリアルさが際立っています。
この肖像画は、当時の絵画技法における写実的なアプローチを示す重要な例です。

男性の肖像
Date.1433

マルガレーテ・ファン・エイクの肖像

女性の肖像画で、非常に精緻で写実的な作品です。
肖像に描かれた女性は、エイクの兄弟であるヘンドリック・ファン・エイクの妻で、作品には彼女の貴族としての高貴な立場が反映されています。
マルガレーテは豪華な衣装を着ており、特に布地の質感や装飾の細部が精緻に描かれています。
背景は比較的シンプルですが、顔の表情や姿勢が強調され、女性らしさと品位が感じられます。
ファン・エイクの得意とする光の使い方や色彩が巧みに取り入れられ、女性の美しさとその社会的地位を表現しています。

マルガレーテ・ファン・エイクの肖像
Date.1439

聖母子

聖母マリアと幼子イエスを描いています。
この作品では、聖母が子供イエスを抱き、二人の間に深い親密さが表現されています。
聖母は穏やかな表情でイエスを見守り、イエスは母親に寄り添うように描かれています。
背景はシンプルで、聖母と子供の存在感を際立たせる構図になっています。
ファン・エイクの精緻な写実性が際立ち、特に人物の肌の質感、衣服の細部、光の使い方に特徴があります。
絵全体に静謐で温かな宗教的情感が漂い、ファン・エイクの宗教画の中でも美しい作品の一つです。

聖母子
Date.1819年-1823年