
サルバドール・ダリは「シュルレアリスムの巨匠」として世界的に知られています。
彼の名前を聞けば、溶ける時計や夢のような世界を描いた絵画を思い浮かべる人も多いでしょう。
ですが、彼の魅力は作品だけにとどまらず、奇抜でユーモラス、時には自分でも「キャラ付けしている」としか思えないほどの言動を繰り広げていたのです。
今回はそんなダリにまつわる「ちょっと笑えて、でも深い」豆知識を5つご紹介します。
目次
電話がロブスターに!? ダリの超シュールな発明
ダリの代表的なオブジェ作品のひとつに「ロブスター電話」があります。
これは1936年に発表されたもので、普通の黒いダイヤル式電話の受話器の部分に、大きなロブスターをくっつけた奇妙な作品です。
この作品の裏には「人間の潜在意識や欲望の象徴としてロブスターを使った」というシュルレアリスム的な思想があるのですが、日常的な電話と食材としてのロブスターを組み合わせるという発想自体がユーモラス。
実際にダリは「もし電話のベルが鳴ったら、次に何が起こるかわからない」というようなことを語っています。
要するに、現実と非現実の境界を崩して楽しんでいたのです。
もし家に置いてあったら、友人が来たときに絶対ツッコまれるインテリアですね。
▼ロブスター電話

ダリと「チュッパチャプス」ロゴ
お菓子好きなら誰でも知っている「チュッパチャプス」。
実はそのロゴをデザインしたのはダリ本人です。
1969年、依頼を受けた彼はわずか1時間ほどでスケッチを仕上げました。
しかも単にロゴを描いただけでなく、「パッケージの真ん中ではなく上部に配置した方が、キャンディを包んだときに見やすい」とアドバイスしたのです。
この工夫のおかげで、チュッパチャプスはどんなに紙がしわになってもロゴがきれいに見えるようになり、世界的に浸透していきました。
奇抜な発想だけでなく、実用性を兼ね備えたデザインセンス。
ここでもやはり、ダリの「商業センス」まで天才的だったことがわかります。

「俺を採点できるのは俺だけ」ダリ、学校を追放される
天才は型にはまらないもの。
ダリはマドリードの美術学校に在籍していましたが、試験のときに大問題を起こします。教授が「近代美術について論じよ」と問いかけると、彼は「私はピカソもセザンヌも誰よりも理解している。だからこの場で私を評価すること自体が間違っている」と言い放ち、採点を拒否されたのです。
結果、学校側は彼を退学処分にしました。
普通なら大失敗のエピソードですが、ダリにとってはむしろ「自分は型にはまらない存在である」という強烈な自己アピールになりました。
後に彼は世界的な画家となり、この「退学事件」自体が伝説の一部として語られるようになったのです。
自信過剰と天才の境界線は紙一重ですね。
ダリのヒゲは「宇宙Wi-Fiアンテナ」だった!?
ダリといえば、両端がピンと跳ね上がったあの特徴的なヒゲ。
彼はこのヒゲについて、ただのファッションや個性の演出ではなく「宇宙からインスピレーションを受け取るためのアンテナ」だと真剣に語っていました。
実際、ダリのヒゲはとても入念に手入れされており、専用のワックスで固められていたそうです。
彼はヒゲを「アイデンティティの一部」として扱い、インタビューや写真でも必ずその存在感を際立たせていました。
ある意味、アーティストとして「常にインスピレーションを受け取っている自分」を象徴する最高の小道具だったのかもしれません。

スプーンで夢をキャッチ!? ダリ流クリエイティブ昼寝法
ダリは創造的なアイデアを得るために、独特の昼寝の習慣を持っていました。
手にスプーンを握ったまま椅子に座り、ウトウトと眠りに落ちていくのを待つのです。
そして完全に眠り込む前にスプーンを落とし、その音で目を覚ますと同時に、夢と現実のあいだで得たイメージをスケッチしたといいます。
この方法は「入眠時幻覚」と呼ばれる状態を利用したもので、ダリはそこから無数のシュルレアリスム的なイメージを引き出しました。
現代のクリエイターや研究者にも参考にされている手法で、まさに「夢を現実に変える男」だったといえるでしょう。
