キュビスムとは?|世界を分解し再構築した20世紀美術の革命

絵が「歪んでいる」「何が描かれているかわからない」——
キュビスムは、そうした違和感から始まる20世紀最大級の美術革命です。
本記事では、キュビスムとは何か、その成立背景、特徴、代表的画家と作品、鑑賞のポイントまでを体系的に解説します。

キュビスムとは?

キュビスムとは、20世紀初頭にフランスで誕生した美術運動で、対象を幾何学的に分解し、複数の視点から同時に描くことを特徴とする絵画様式です。
従来の「一点透視図法」による再現的絵画を否定し、見える世界ではなく、理解された世界を描くことを目指しました。

ゲルニカ (Guernica)

キュビスムはなぜ生まれたのか

写実・遠近法への限界

19世紀までの西洋絵画は、ルネサンス以来の遠近法に基づき、「目に見える通りに描く」ことを理想としてきました。
しかし写真技術の発展により、絵画の役割は揺らぎ始めます。

セザンヌの影響

ポスト印象派のポール・セザンヌは、自然を「円筒・球・円錐」で捉えるべきだと考え、形態の構造化を試みました。
この思想がキュビスム誕生の直接的な起点となります。

キュビスムの特徴

シュルレアリスムには、次のような特徴があります。

形の分解と再構成:対象を一度バラバラに分解し、再構成することで、単なる外観ではなく「構造」を描きます。
複数視点の同時提示:正面・側面・上方など、異なる視点を一つの画面に同時に描き込みます。
色彩の抑制:特に初期キュビスムでは、茶・灰・黒などの限定的な色彩が用いられ、形態理解が優先されました。

平和の鳩(Dove of Peace)
アルジェの女たち(Les Femmes d'Alger)

キュビスムの代表的な画家と作品

パブロ・ピカソ

キュビスムを創始した画家の一人。
代表作:《アヴィニョンの娘たち》では、人物を幾何学的に分解し、複数視点を同時に提示しています。

ジョルジュ・ブラック

ピカソと並ぶキュビスムの共同創始者。静物を徹底的に分析・構造化しました。

フアン・グリス

キュビスムを理論的・装飾的に発展させた画家。明快な構成と色彩が特徴です。

分析的キュビスムと総合的キュビスム

新聞紙や壁紙を貼り付けるコラージュ技法は、絵画の概念そのものを変えました。

種類特徴
分析的キュビスム形態を細かく分解、色彩は抑制
総合的キュビスムコラージュ導入、形を再構築

他の美術潮流との違い

キュビスムは「どう見えるか」ではなく「どう認識するか」を描いた点で革新的でした。

種類特徴
印象派光と色彩の印象
ポスト印象派感情・構造の探究
キュビスム視点と構造の再構築

キュビスム作品の見方

キュビスム作品は「何が描いてあるか」を即座に理解しようとしなくて構いません。
形の断片・重なり・リズムを追うことで、画家の思考プロセスが浮かび上がります。

よくある質問(Q&A)

キュビスムは抽象画ですか?
完全な抽象ではなく、対象を分析・再構成した具象絵画です。
なぜ人物や物が歪んでいるのですか?
一つの視点に縛られず、複数の角度から捉えるためです。

まとめ|キュビスムは「見る」から「考える」絵画へ

キュビスムは、絵画を視覚の再現から解放し、思考の表現へと変えました。
この革命は、抽象美術・未来派・構成主義など、20世紀美術全体に決定的な影響を与えています。