フリーダ・カーロの作品一覧・解説『いばらの首飾りとハチドリの自画像』、『ディエゴと私』

フリーダ・カーロの有名(ポピュラー)な作品から、あまり知られていない作品までを厳選して紹介いたします。

ビロードの服を着た自画像

この作品は彼女の初期の自画像のひとつであり、彼女が18歳の若さで描いたものです。
絵画はベルベットのドレスを身に着けた若々しいフリーダの姿を描いており、彼女の強い個性と自己表現が感じられます。彼女の独特なまつ毛と太い眉、強く描かれた眼差しは、彼女の後の作品にも見られる特徴的なスタイルを先取りしています。この絵画は、若干の抽象性と深い内省を備えた若き日のフリーダ・カーロの内面を示しています。

ビロードの服を着た自画像
Date.1926

葉巻をくわえた自画像

この作品では、カーロは短く刈り込まれた髪と男性的なスーツを着て描かれています。
彼女は左手に葉巻をくわえ、その手には彼女の長い髪の束が握られています。
この作品は、フリーダが自らの女性性やアイデンティティに対する強いアクセントを示すものであり、彼女が当時の社会的なジェンダー観念に挑戦していたことを象徴しています。
髪を刈り込んだことは、彼女の病気や苦痛と闘う決意や新たな自己表現の形として解釈されており、この作品はカーロの個性と強固な自己表現を端的に示す作品の一つとして知られています。

葉巻をくわえた自画像(Self-Portrait with Cropped Hair)
Date.1940

いばらの首飾りとハチドリの自画像

この作品では、カーロはトゲの首飾りをつけ、胸にはコロイブリ(ハチドリ)がとまっています。
トゲの首飾りはキリストの荊冠のような象徴であり、カーロの苦痛や苦難を表現しています。また、コロイブリはメキシコのアステカ文化において死後の精神的なガイドとされる存在であり、生と死、現実と幻想を結びつける象徴として用いられています。
この絵画は、カーロの苦痛や内なる闘いを反映しており、同時に彼女の精神的な強さや生命力を示しています。
鮮やかな色使いや強い表現力は、彼女の個性的なスタイルを際立たせています。自画像には、カーロが直面した身体的苦痛や心の痛みにもかかわらず、彼女の内なる強さと意志が表現されています。

自画像 - 生の双子(Self-Portrait with Thorn Necklace and Hummingbird)
Date.1940

ディエゴと私

彼女と彼女の夫であり画家のディエゴ・リベラを描いた作品です。
絵画は、カーロがリベラとともに描かれた二人の肖像画で、彼女の左肩にはリベラの肖像があります。カーロはその胸の上に小さな肖像画を描き、その胸の中央にリベラへの深い愛情を表現しています。彼女の肩にはリベラの肖像画があり、その肩からリベラの顔が見えています。
この作品は、カーロとリベラの複雑な関係と愛情を示しており、彼女の個人的な表現と感情を反映しています。

ダイエゴと私(Diego and I)
Date.-

二つのフリーダ(自画像)

象徴的な絵画で、彼女自身を二つの異なる姿で表現しています。
作品では、左側のフリーダはヨーロッパ風の洋服を着た姿であり、心臓部分が露出しており、静脈が繋がり、自分の心臓をつなぎ止めている。
一方、右側のフリーダはメキシコの民族衣装を身に着けており、手には小さな肖像画を持っています。
作品は、フリーダの内面の葛藤と彼女の二つの側面、ヨーロッパ的な影響とメキシコのルーツを象徴的に表現しています。この作品は、彼女の個人的なアイデンティティと文化的なアイデンティティの葛藤を強く示しており、彼女の内なる戦いや自己理解を視覚的に表現しています。

二つのフリーダ(自画像)(The Two Fridas)
Date.-

鹿との自画像

この作品は、フリーダが鹿を抱えている様子を描いています。
鹿は、フリーダが自分自身を表現する上での象徴的な動物であり、彼女の内面世界を表現しています。フリーダは、鹿を抱えることで、自分自身と鹿が一体化しているように描きました。この作品は、フリーダが自分自身を強く表現した作品の一つとして知られています。

自画像 - 鹿を持つフリーダ(Self-Portrait with a Deer)
Date.1946

ウィリアム・カーロの肖像

フリーダ・カーロの父親であるウィリアム・カーロの肖像画です。
この作品は、ギジェルモ・カーロが写真家であることを反映して、非常に写実的に描かれています。
ウィリアム・カーロは、画面の左側に座っており、黒いスーツを着ています。彼は、右手に持った帽子を左手で支えています。彼の顔は、厳粛な表情で描かれており、彼の目は観察者を見つめ、背景には、緑色の植物が描かれています。
この作品は、フリーダ・カーロが父親への愛情を表現したものであり、彼女が父親との関係を大切にしていたことが伺えます。

ギジェルモ・カーロの肖像(Retrato de Guillermo Kahlo)
Date.-

マグノリア

1945年に制作した静物画です。この作品は、白いマグノリアの花を描いたもので、花びらの細部まで非常に詳細に描かれています。
花は、茎に沿って垂れ下がっており、背景は暗い色で塗られています。この作品は、フリーダ・カーロが自然とのつながりを表現したものであり、彼女の芸術的才能を示すものでもあります。

マグノリア(Magnolias)
Date.1945