
ジョヴァンニ・ベッリーニの有名(ポピュラー)な作品から、あまり知られていない作品までを厳選して紹介いたします。
総督レオナルド・ロレダンの肖像
15世紀末から16世紀初頭のヴェネツィア派肖像画の代表作です。
作品は総督の威厳と個性を静謐に表現しており、人物の顔立ちは細密に描かれています。
赤い総督衣を着たロレダンは、正面を向きつつもわずかに横を向き、威厳と落ち着きを兼ね備えた姿勢を示しており、背景は簡素で暗色を用い、人物の存在感を際立たせています。
光の扱いは柔らかく、顔や手に繊細な陰影を与え、立体感を生み出しています。
また、服飾の質感や金属の装飾も精緻に描かれ、権力者としての社会的地位を示しています。
ベッリーニ特有の緻密な筆致と色彩感覚が、肖像画に静謐で格式高い印象を与えています。

Date.1501–1502
ゲツセマネの祈り
キリストの受難前夜を描いた宗教画で、静謐さと劇的な感情表現が調和しています。
画面中央にはひざまずくキリストが描かれ、彼の顔や手には深い苦悩と祈りの緊張感が表現されています。
周囲には眠る弟子たちが配置され、静けさと緊張の対比を生み、背景には夜の庭園が描かれ、柔らかな光がキリストの姿を浮かび上がらせることで神聖さと象徴性を強調しています。
自然描写や植物の細部まで丁寧に描かれ、ベッリーニ特有の色彩の調和と光の効果により、祈りの静謐な雰囲気と物語の緊迫感が同時に伝わる作品です。

Date.1458-1460
牧草地の聖母
自然と聖性が調和したルネサンス期ヴェネツィア派の代表的作品です。
画面中央に聖母子が配置され、柔らかな光が二人を包むことで神聖さが際立っています。
背景には広がる牧草地や遠景の山々が描かれ、自然の豊かさと静けさが表現されており、聖母の衣の質感や顔の柔らかな表情は丁寧に描かれ、慈愛と穏やかさを伝えています。
光と色彩の繊細な扱いにより、人物と風景が一体となり、静謐で調和の取れた空間が生まれています。
全体として、ベッリーニ独自の落ち着いた色彩感覚と精緻な筆致が、神聖なテーマと自然描写を美しく融合させた作品です。

Date.1500年-1505
神々の饗宴
神話的主題を扱ったルネサンス期の傑作で、古典的な調和と精緻な色彩が特徴で、画面中央には神々が円形に集まり、宴の場面が描かれています。
それぞれの人物は個性豊かに描かれ、衣服や装飾の質感も細かく表現されています。
背景には建築や自然が配され、遠近法を用いて空間の奥行きが強調され、光の扱いは柔らかく、神々の肌や衣の陰影に繊細な立体感を与え、豪華さと静謐さを同時に表現しています。
全体として、ベッリーニ特有の緻密な筆致と色彩感覚が、神話的な物語と儀式的な荘厳さを美しく融合させています。

Date.1514
聖母子
ルネサンス期ヴェネツィア派の特徴である柔らかな光と色彩の調和が際立つ作品です。
聖母は穏やかな表情で幼子イエスを抱き、その慈愛と静謐さが画面全体に漂っています。
衣の質感や肌の描写は丁寧で、柔らかな陰影によって立体感が生まれ、背景には自然や遠景の風景が描かれ、人物と環境が調和することで空間の広がりが感じられます。
神聖さと日常性が共存した温かみのある肖像となっています。

Date.1510
聖ザカリア祭壇画
聖ザカリアを中心に聖人や天使たちを配した宗教画で、ルネサンス期ヴェネツィア派の特徴がよく表れています。
中央の聖ザカリアは厳かな表情で描かれ、周囲の人物たちは自然な仕草や表情で配置され、物語性と調和を生み出しています。
背景には建築物や遠景の風景が描かれ、遠近法を用いて空間の奥行きが強調されており、光と色彩の扱いは柔らかく、人物や衣服に繊細な陰影を与えることで立体感と神聖さが際立っています。
ベッリーニ独特の精緻な筆致と落ち着いた色彩により、荘厳で静謐な祭壇画としての格調が表現されています。

Date.1505
アレクサンドリアでの聖マルコの説教
聖マルコが異教徒に福音を説く場面を描いた宗教画で、ヴェネツィア派特有の色彩と空間表現が際立っています。
中央に立つ聖マルコは力強くも穏やかな表情で群衆に語りかけ、周囲の人々は驚きや敬意を示す自然な仕草で描かれています。
背景には建築物や遠景の風景が広がり、遠近法と柔らかな光の効果によって空間の奥行きと静謐さが強調されており、衣服や人物の質感は精緻に描写され、色彩の調和と陰影の扱いにより立体感が生まれています。
宗教的荘厳さと物語性を融合させた作品となっています。

Date.1504-1507
ピエタ
十字架から下ろされたキリストを聖母が抱く哀悼の場面を描いた宗教画で、ヴェネツィア派特有の柔らかな光と色彩の調和が特徴です。
聖母は悲しみに沈みつつも穏やかな表情でキリストを支え、その姿勢や手の動きに深い感情が表現されています。
背景には静かな風景が広がり、人物と環境が調和して空間の奥行きを生み出しており、衣服や肌の質感は精緻に描かれ、柔らかな陰影によって立体感が際立っています。
落ち着いた色彩と緻密な筆致により、哀悼の情と神聖さが静謐に伝わる作品となっています。

Date.1465–1470
ギリシャの聖母
聖母子像の伝統に沿いながら、ヴェネツィア派特有の光と色彩の調和が際立つ作品です。
聖母は穏やかで慈愛に満ちた表情を浮かべ、幼子イエスを優しく抱いています。
背景は簡素で落ち着いた色調が用いられ、人物の存在感と神聖さを強調しており、衣服の質感や肌の描写は精緻で、柔らかな陰影により立体感が生まれています。
穏やかな色彩感覚と丁寧な筆致により、神聖さと親しみやすさが共存する温かみのある聖母子像となっています。
